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あるレストランにて

少し前に、私は恋人と2人でドレスアップをし、フランス料理店へ行ってきました。 通常時の金額ではとても味わえない料理が、この時だけは安くなるという事で 全く興味のない私でも、ドレドレ…と。 そこは一軒家のレストランで、1Fのエントランスには壁ギュウギュウに 大きな絵が所狭しと飾られていました。 それらを見て顔を歪めてしまいましたけど、 とりあえずウェイターにトレンチコートを預け、3Fのレストランへ。 そのフロアでも、低い天井/狭い室内の全面に窮屈そうに具象絵画群が 飾られていました、というよりも、「吊り下げられていた!」 と言った方が適切でしょうか。 とにかく作品達が可哀相。バブル期を象徴とした遺跡的空間に閉じ込められて。 こちらのお店ではきっと、料理の金額に入場料が含まれているみたいね。 料理を待っている間、頭の中で、私だったらどれを外しどこへ移動させようかと、 絵画の配置変えに夢中になっていました。 どんな作品もオーナーを選ぶことは出来ませんが、自ら適する居場所を語っています。 それらの作者が違えば、形体も大きさも主張も変わってくるのは勿論、 飾るべき空間も変わってくるでしょう。 適所かどうかの一つの判断基準として、「その状態で存在感を持って 語りかけてくるかどうか」ということではないでしょうか。 「その作品を理解している」というのは、飾り方で分かるものかもしれません。 …と、料理が出される前の段階としては、 このレストランでの私の評価は良くありませんでした。 しかし、私の意に背いて料理は、盛付も清楚で素晴らしく、味もとても美味しい。 そして、シェリー酒を始め、シャンパン白/赤ワインも。 料理での美的センスはとても素敵でしたが、 しかし「もの言えず、苦しそうにしていた絵画達」の事はどうしても忘れられない。