先生の素質
前エッセイでは魅力的な授業づくりについて述べました。 今度は、学生の頃に必要な先生の素質について考えてみます。 番組「わくわく授業」とは少し対象的に、 今回は番組「課外授業 ようこそ先輩」の私の感想から入ります。 こちらは、各界の第一線で活躍する人々が出身校である小学校を訪ね、 専門とする世界をベースに個性的な授業を展開します。 番組の主旨は「魅力的な先生」の答えを出すものではなく、 タイトルのように、あくまで先輩の立場で進行しています。 ただ、生徒がその存在を知らなくても、有名人であるという偏見は、 「この人は凄い人だから、この人の言う事は間違いないだろう」という 授業には必要ない固定概念を導きかねません。 反対に、現場で働く多くの先生には、初めからそのような要素はありません。 「この人のようになりたい」 「いつまでも背中を追いかけたい」 「尊敬したい」存在ではなく、 むしろ「いつも近くにいて何でも話せる親しみを持てる人」 このような先生が、学校の教室には似合うでしょう。 しかし教室の中で、司会進行役を勤める以外に、 もっと大切な要素を背負っています。その例えが次のシーン。 「背の小さい生徒が、背伸びをしても届かない高いところにあるモノに、 そのモノを一生懸命とろうとしています。そこに通りがかった先生が 踏み台になり、その上に生徒が乗り、初めてそれに手がとどいた」 この時、生徒は自分より体重が重い時もあるし、 敬意など無く、土足で自分の背中に乗る場合もあります。 またそこに通りがかった偶然性に何の作為的なものなどありません。 そして、目的を達成できた生徒は、感謝もなくその場から走り去ってゆく。 どのような生徒にも差別無く、常に身近にいて、 何かあれば「生徒の為」だと、体を張る事が出来るー そんな行為が、私にとって先生という根本的な素質を持った人です。 「課外授業 ようこそ先輩」のホームページ http://www.nhk.or.jp/kagaijugyou/