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長谷川等伯展

先日、長谷川等伯展を東京国立博物館で観てきました。
没後400年の節目で、国内のほぼ全ての等伯の作品を観れる大回顧展です。
各地の美術館や寺で所蔵されている主役を借りている事もあるのでしょう、
1ヶ月の超短期開催で、行きたい気持ちを抑え、チャンスを模索しながらも、
結局は出かけ次いでの閉館3時間前に行き、入口前で1時間待ちました。

入るな否や真っ先に進んだのは、最後に展示されている「松林図屏風」。
写真だけでしか拝見した事のない最高峰が、私の目にはどのように写るのか…

松林図は一段と多くの人混みに埋もれていました。
漸く目の前に立っても、流れに引きずられるように
移動を余儀なくされ、作品との会話がじっくり出来ません。

大きな作品は、遠くから近くからと、行ったりきたりを繰り返し、
次に顔を近づけて嘗めるように眺める、
そして最後に、別れの挨拶をするように、遠くへ行きまた眺める。

そのような理想的な鑑賞が出来ない状況なのは、
作品がギュウギュウに展示されている展示法にも問題があるように感じ、
やはりここは美術館ではなく博物館だったということが否めません。

しかし、感じた事は膨大にあります。
上手く感情をすくい、言葉に形容出来たのは…、
朝の冷たい濃霧に囲まれた空気感と、余白に多くの気配を感じる質感、
墨の濃淡と筆の強弱だけで表した平面に、果てしなく続く奥行きを感じます。
荒々しい筆後と柔らかく繊細な線は、表現の幅と作品への誠実さを感じ、
私の生き方に対して「丁寧に、そして純粋に」の指針を得た気持ちです。

やはりじっくり観たい…京都の巡回展に追いかける気力はありませんが、
幸い、松林図は国立博物館の所蔵です。
未練のある私は、帰宅後、国立博物館へ電話をして、常設展として
次に鑑賞出来る日を尋ねると、最も早くて2年後の1月だそうです…。
時折、等伯の絵はがきを眺めながら、再会を気長に待ちたいと思います。