バッグ作りで想うこと

昨年の暮れから、年末年始の休養の間で直ぐに仕上げられる
デザイン(編み図)を探し、簡単なバックを雑誌から選びました。
木製の持ち手を付ける手編みの手提げバッグで、
私には初めてのバッグ作りです。

作り方にある指定通りの糸は大型店になく、類似する糸の束を、
質感や量感を手で確かめた上で、念には念をと、一束多めに購入。
木製の持ち手は、作り方にある指定の幅26cmが無かったのですが、
そもそも幅が広過ぎるのではと懸念し、バッグ本体のサイズはそのままで
幅23cmのもの(指定より3cm狭いもの)をメーカーINAZUMAより購入。

材料が揃うと編み始め、年末のお休み前には早々に仕上がり、
糸始末もソコソコに、仕上がったバックを持って、1日試用。
制作途中の段階で気づいていたものの…、やはり…と、落胆をしたのが、
開口部がとても狭く、平たいものしか入れられない!
使い勝っての悪さをそのままに出来ず、帰宅したその日の内に、解体。
後から実家へ帰省した時に、バッグをよく制作する母や姉に聞きましたが、
バッグの開口部の空き(またはマチを広げる)をつくることは基本のようです。

※解体前に撮影。当初の指定である更に3cm広い持ち手を付けていれば、
 ものが全く出し入れが出来ないバッグになっていました。(下写真)

手作りバック

持ち手の幅をさらに小さいものに買い換えて付け直せば済みますが、
それでは、ものを作る背景に、知恵と忍耐が必要なことと、それらがあって、
ものづくりは充実するという背中を、娘に見せることは出来ません。

そこで持ち手の幅に適したデザインに、バッグ本体を変えて
(開口部を広げ、さらに深さを浅く)改善し、編み直しました。
これで出し入れが多少は改善でき、
これから大切に愛用しようという気持ちが一層強まります。

※左右を2cm(合計4cm)広げ、深さは1cm浅くし、出し入れが改善(下写真)

手作りバック

ところで、木製の持ち手を付けるというデザイン発想は、
気軽に洗えないバッグであることが前提でしたが、
ニットであるにも関わらず、作り方には内袋を付ける
指定がありませんでした。
面倒な作業が加わりますが、やはり取り外し可能な内袋を
付けるのが最適ではないでしょうか。

このバッグを発案した作者は、恐らく本雑誌以外にも
多くの方々に教えていらっしゃるかもしれません。
簡単に、簡単そうに教えること、材料がシンプルであることは、
初めて作る方や忙しい方にも嬉しいことで、
最初の「作って頂く」という目的は成功したでしょう。
しかし、作ることを愛する方にとって、
作ることを愉しんでいるのは、使うことを楽しみにしているからです。
作り上げた充実感や、また新たな作品を作ってみたいという意欲は、
完成後の使用している時に初めて深く実感するもので、
ものづくりの質は、この継続で向上していくのだろうと感じます。

手作り作品を提供する作者は、経験の有無に関わらず、
まず発案された完成品を試作、試用をし、
問題点や改善点を探し、繰り返し作り直すことは
制作工程の一部だと考えるべきでしょう。

また、使用する素材に対しても敬意と責任を持って研究し、
この繰り返しの地道な作業を、当たり前のように行うことが、
クラフトマンシップなんだろうと思います。

私は、そのようなことを自分自身にも教訓に感じつつ、
ある日の電車の中で、私のバッグが注目の眼差しを受けて
ほくそ笑んでいる姿を想像しながら、最後の内袋を制作しています。

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