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新作発表会にて

毎年2月になると さまざまなショップから 春の新作発表会のDMが届く 中でも いつも楽しみにしているのは 日本のガラスメーカー 「スガハラ」 ユーモアや滑稽な楽しさが溢れるなかで 使い勝手も忘れていない 硬質でデリケイトなガラスの質感に相反して 温かみのある有機的な曲線が特徴です 今年の新作は、なにかが違っていた 色のバリエーションと 新たな技巧が増え 長い歴史を背負っても 挑戦し続ける姿勢がまた嬉しい 新作を生み出した職人たちが 来客に熱心に説明をしても 私には必要ない 作品が語りかけてくるから 毎年 誰かを誘って行くのに 今年はひとり そのかわり この感動をプログで共有したい 菅原工芸硝子株式会社 公式サイト http://www.sugahara.com/

あけましておめでとうございます

量よりも質にこだわる 「賑やか」よりは「穏やか」なものが好き 「可愛い」より「美しい」と言われたい 流行と普遍の違いを見極められる 身近にあるものよりも遠くにある存在に惹かれる 最後の決断は、常に感性ということを知っている 時間と質は比例している、と信じている 他人が気づかない大切なものを、出来るだけ多く見つけたい いつも夢は、「毎日を、私らしく、正直に生きること」 本年も、どうぞ宜しくお願い致します。

速水御舟「炎舞」

漸く巡り会えた 炎と蛾を描いた「炎舞」 噂ほど 輝いてはみえないし 思ったほど 写実でもない 耳を澄ましても 31歳だった作者の言葉は聞こえてこない ただひたすらに そして丁寧に 二つの生を描いた画 けれど この感動はなんだろう 説明のつかない静かで体全体を包み込む音が流れ その音をずっと そして何度も聞きたくなる 作者がこの画について 語っていないのだから 感じるしかない この体で 山種美術館 http://www.yamatane-museum.or.jp/index.html

竣工

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お久しぶりです、笹本道子です。 今年6月末に、アトリエ兼住戸が竣工しました。 これまでの道のりはとても長く、 この間に幾つものハプニングがあり、 もう、それを楽しめるほどの人間力がついたほどです。 5年前、いいえ6年前でしょうか、 「理想的なアトリエと家族の家が欲しい」がはじまりでした。 それから、土地探し、建築家探し、工務店探しと平行して コーポラティブでの集合住宅での公募探し、 マンション探し、建築家が建てた中古物件探しをし、 「家」と名のつくセミナーにも片っ端から参加をして どれほどの方々とお会い、相談をしたでしょうか… とにかく「一生もの」を「はじめて」つくることの不安を 喜びに変えるために、あらゆる方法を知り、 納得のいく家づくりを模索し続けました。 そして、その目的を見失わないために 時間があれば、いつでも家全体のイメージや 間取りの図面に起こす作業をしていました。 外出する時も、図面を鞄に入れて持ち歩き 移動中の電車の中でも、思案にふけたり… そうしているうちに、とうとう理想的な土地が見つかり、 最終的に、意識の高い建築家、工務店と出会えたことで ようやく本格的な家づくりがはじまりました。 新居は、商業地域にあり防火地区の指定になっていたために、 開口部含む外壁全てに耐火構造(または施工)と 断熱素材を選ばなくてはならず 費用が大分その部分に費やされました。 現在はまだ表札や看板、エクステリアなどの デザインを考えている間がなく、施工は先になりそうですが… もう引っ越しをしてはや4ヶ月、そろそろこちらでも 紹介したいと思います。 外壁はガルバリウム鋼板の耐火素材で、 9cmピッチにひとつひとつ手で加工しています。 西側の商店街から階段室を見上げる。 幅40cmの窓、当初は全面ガラスの予定でした。 階段室。1~3階までの1面だけサーモンピンクにして 階段自体も同色で塗装。 アトリエ。 白を主にした壁とコンクリートの土間。ハイサイドの窓で商店街からの視界を遮り、 厳かに、集中して、そして楽しい時間を過ごすために。 アトリエの南側。 黒い壁と2カ所のアーチが、室内の僅かなアクセント。 細かい手作業でも手元を常に明るく照らす、長く細い照明とギャラリー対応の可動式照明。 アトリエの北側を覗く。テーブルは幅2600mmの6人掛け。 ひとりにひとつ引き出...

贈り物

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4月は始まりの季節。 姪が今月から、家から離れた高校へ入学する事になりました。 そのお祝いに贈るプレゼントは、既に11年前から決まっていました。 それは、彼女が5歳前後の時に、実家で新聞広告の裏に描いた絵でした。 紫、ピンク、緑色のペンで細部にまで描写された絵に心動かされて こっそり頂戴し、ずっと大切に保管していました。 この正方形の原画に併せて、額とマットを特注し7日後 漸く額が、私の手元に届きました。 急いで、作者に戻そうと送ると、 翌日、感謝の電話が鳴りました。

長谷川等伯展

先日、長谷川等伯展を東京国立博物館で観てきました。 没後400年の節目で、国内のほぼ全ての等伯の作品を観れる大回顧展です。 各地の美術館や寺で所蔵されている主役を借りている事もあるのでしょう、 1ヶ月の超短期開催で、行きたい気持ちを抑え、チャンスを模索しながらも、 結局は出かけ次いでの閉館3時間前に行き、入口前で1時間待ちました。 入るな否や真っ先に進んだのは、最後に展示されている「松林図屏風」。 写真だけでしか拝見した事のない最高峰が、私の目にはどのように写るのか… 松林図は一段と多くの人混みに埋もれていました。 漸く目の前に立っても、流れに引きずられるように 移動を余儀なくされ、作品との会話がじっくり出来ません。 大きな作品は、遠くから近くからと、行ったりきたりを繰り返し、 次に顔を近づけて嘗めるように眺める、 そして最後に、別れの挨拶をするように、遠くへ行きまた眺める。 そのような理想的な鑑賞が出来ない状況なのは、 作品がギュウギュウに展示されている展示法にも問題があるように感じ、 やはりここは美術館ではなく博物館だったということが否めません。 しかし、感じた事は膨大にあります。 上手く感情をすくい、言葉に形容出来たのは…、 朝の冷たい濃霧に囲まれた空気感と、余白に多くの気配を感じる質感、 墨の濃淡と筆の強弱だけで表した平面に、果てしなく続く奥行きを感じます。 荒々しい筆後と柔らかく繊細な線は、表現の幅と作品への誠実さを感じ、 私の生き方に対して「丁寧に、そして純粋に」の指針を得た気持ちです。 やはりじっくり観たい…京都の巡回展に追いかける気力はありませんが、 幸い、松林図は国立博物館の所蔵です。 未練のある私は、帰宅後、国立博物館へ電話をして、常設展として 次に鑑賞出来る日を尋ねると、最も早くて2年後の1月だそうです…。 時折、等伯の絵はがきを眺めながら、再会を気長に待ちたいと思います。

いつでも未来は、日常にある

朝日が照らしだす、早朝の冷えた空 夜の煌めくクリスマス・ネオンに続く、 短く儚い清い空間 青色の優しい陽の中で到着した、 ひとけの少ない六本木のスターバックス 深くゆったりとしたソファーに沈みながら 目に止まったプロダクトデザイン集を見れば 少し前のデザインに懐古趣味を抱きつつ 未来の「私はどうするの?」と、感性を研ぎすます… 偶然手にとった、トード・ボーンチェの作品集 公式サイト http://www.tordboontje.com/